【予告編&制作過程紹介】第52回一橋祭 装飾企画展示 「一橋祭の季節(とき)」


二年連続オンライン開催となった一橋祭ですが、今年も装飾企画イベントの1つとして「一橋祭の季節(とき)」というタイトルで拙作のガラス作品をオンライン展示させて頂きます。


一橋祭の季節である「」と「黄葉・紅葉」をテーマに、一橋大学構内や国立市の景色をガラスの豆皿に映し出した作品の数々をご覧ください。


なお、今年は一橋祭の期間中(11/19~21)に旧国立駅舎の展示スペースに各種豆皿や丸皿、ぐい吞みなどをリアル展示させて頂きますのでこちらも覧頂ければ幸いです。


このブログでは本編の予告編も兼ねて、「ガラスの豆皿(直径約9cm余)」の制作過程を紹介させて頂きます。


ところで、ガラス作品というと皆さんは躍動的な「吹きガラス」を連想されると思いますが、当工房では電気炉を使って静的に制作しています。(その理由は昨年の繰り返しになりますが、私が「ナマケモノ」だからです。ご興味ある方は弊ブログ「なぜ吹きガラスをやらないのか?」 https://ameblo.jp/guinomi77/entry-11846435501.html をご参照ください。)


豆皿に風景を描くには、豆皿に仕上げた後に絵付けをしたり、粉や粒の色ガラスを使って平面的な絵画風に仕上げるのが一般的ですが、今回は建築物の直線や曲線が崩れないように、また、ガラスの厚みや豆皿の反りをできるだけ利用した「半立体的な絵画風」にしてみたかったので、次のような石膏型を使いました。

これらは割れたり使い古した石膏型から削り出したものですが、結構時間がかかりました。...(;^_^A +肩こり)

これらの型に陶芸で使う上絵付け絵の具粉の色ガラスで着色したものがこちらです。


その上に透明な粒ガラスを被せて(絵の具の色をガラスに)焼き付けます。

この時に遠景または背面の松やイチョウの色ガラスも加えて焼成します。


焼き上がって板状になったガラスの上に、近景のイチョウやモミジ、松などの色ガラスを載せて再度焼成します。

この時に高温で焼くと載せたガラスが平面的になってしまうので、少しでも立体的になるように温度を少し下げて短時間焼成します。

冷めたら石膏型を取り除いて、バリを取ったり、ザラザラの部分を研磨します。

通常は石膏型で凹んだ部分にガラスを足して焼成して両面平滑な平板にするのですが、今回はわざとそれをしないで凹みを残したままにしています。(旧国立駅舎の展示では、裏返して頂くとどのような石膏型だったかが確認できます。

このままでは平らな平板なので、更に豆皿として「反り」を入れるための焼成(スランピング=slumping)を行います。

これは昨年の展示作品制作時の写真ですが、100円ショップで買った小鉢というか豆皿を型にして反りを入れます。(まだ電気炉に入ったままの状態です。)

この作業が実は重要で、反りを入れた豆皿にして周囲を持ち上げることで一層の立体感や遠近感を出すことができます。

こちらは東2号館の豆皿ですが、建物の石膏型が5mm前後の高さがあるため、結構ぶ厚くなっています。また、両翼のイチョウが多少盛り上がっているのが近景として色ガラスを載せた部分です。

次の写真は色ガラスが地層のように重なっているのが分かると思います。

暖色系(赤~黄色)と寒色系(緑~青)が直接混ざると「黒化」といって黒くなってしまうので、間に透明ガラスの薄い層(=隔離層)を入れています。

ひっくり返すと裏面はこんな感じで、建物部分(石膏型があった部分)が凹んでいます。

東本館前のモミジはこのように盛り上がっているので、豆皿としての実用性は「?」です。(苦笑)

4番目の写真右側の兼松講堂(のつもり)の豆皿をひっくり返すとこんな感じで、良し悪しは別にして、ちょっと前衛的なゲージュツの雰囲気がなくもないのではと?!。(半分自画自賛)


新たな手法へのチャレンジは失敗もあり、骨も折れるのですが、今回も楽しく制作することができました。

このようなガラス工芸にご興味がある方はお気軽にお問合せください。


ご来訪頂き、また最後までご覧頂きありがとうございました。

ガラス工房・アトリエ仁(Jin)(旧アトリエ&ギャラリー 仁)

アトリエ&ギャラリー仁(Jin)は 2020年7月1日に 国立駅南口徒歩7分の住宅地に移転いたしました ガラス工房・アトリエ 仁(Jin)として、ガラス作品の制作と販売、そしてガラス工芸サークル(旧体験教室)を行っています これからもよろしくお願いいたします (不定休ですので、お手数ですが事前にメールまたは電話でお問い合わせください)

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